理事・管理

マンションを居住者で管理する「自主管理」 メリットと注意点を解説

2024.02.28
マンションを居住者で管理する「自主管理」 メリットと注意点を解説

マンションの老朽化や物価の高騰に伴い、修繕費や管理委託費用の値上げを検討しているマンションもあるのではないでしょうか。

値上げを回避する方法のひとつに、マンションの管理業務を自分たちで行う「自主管理」があります。

今回は、マンションの自主管理の概要とメリット、導入する際の注意点について説明していきます。

管理組合がマンション管理業務を行う「自主管理」

管理会社に委託しない方法もある

自主管理とは、マンションの管理業務を管理会社に委託せず、管理組合で行う方式です。

管理業務には、管理組合の会計や理事会・総会の実施などの「事務管理業務」、受付や点検の立ち会いなどの「管理員業務」、共用部の清掃などの「清掃業務」、電気設備やエレベーターなどの保守・点検を行う「建物・設備管理業務」があります。自主管理では、これらの業務のうち事務管理や清掃などの管理組合で対応できる業務は自分たちで行い、建物・設備管理業務などの専門的なスキルが求められる内容は業者に委託します。

とはいえ、分譲マンションで自主管理を行っているのは少数派です。2018年度の国土交通省「マンション総合調査」では、全部の管理事務を管理会社に委託しているマンションの割合は74.1%。一方、管理組合が全ての管理事務を行っているマンションの割合は全体で6.8%に留まっています。

マンションを自主管理するメリット

【1】管理費用を抑えられる

管理会社に支払う管理費用の節約効果大

自主管理を行うメリットの1つ目は「管理費用を抑えられる」点です。

現在管理会社を利用しているマンションが自主管理に切り換えれば、管理会社へ委託する費用の支払いがなくなるので、管理にかかる費用を大幅に削減できます。

特に、管理業務を管理会社に任せっきりにしている場合は、業務内容に対して割高な管理費を支払っているケースもあるので、最終的に自主管理に切り替えるかは別として、コストに見合った管理がなされているかを見直す機会を持つのは重要です。

【2】マンション管理に対する意識が向上する

住民のやる気がアップする場合も

2つ目のメリットは、「マンション管理に対する意識が向上する」点です。

居住者が自ら管理業務に携わるため、自分たちのマンションの管理や資産価値の維持に対する関心の向上が見込めます。居住者全体の関心が高まれば、総会の出席率が上がり、大規模修繕の計画や修繕積立金の値上げを検討する際に合意形成しやすくなるでしょう。

【3】居住者同士のコミュニケーションが活発になる

住民の結束が強まる効果も

3つ目のメリットは、「居住者同士のコミュニケーションが活発になる」点です。

自主管理を行うには管理組合の理事だけではなく、居住者同士の連携が必要です。そのため、管理業務を管理会社に委託している場合よりも、互いにコミュニケーションを取る機会が多くなります。

普段から居住者同士のコミュニケーションが多いマンションでは、前述したように総会での合意を形成しやすいだけではなく、災害発生時の連携や助け合いがスムーズになると期待できるでしょう。

自主管理の注意点

【1】適切な管理の実施が難しい

一方、自主管理を行うためには超えるべきハードルもあります。

まずは「適切な管理の実施」です。

一般的な管理組合員は、管理会社で働くプロに比べ、マンション管理に関する知識の習得が困難です。適切な方法での清掃や設備管理が実施できないと、外観の見栄えが悪くなるなど、マンションの資産価値が下がってしまいます。

さらに、管理が不十分だと設備の老朽化が加速してしまい、故障や外壁タイルの剥落などによって居住者が怪我をしてしまうなどのリスクがでることも考えられます。

理事会や居住者のなかに、管理に精通した人がいないと、適切な自主管理をするハードルが高いといえます。

【2】人材確保が難しい

管理を実施する「人材確保」も難しくなっています。

自主管理では、清掃や事務などの日常的な業務を居住者が持ち回りで行わなければなりません。さらに、適切な管理を実施するには、個々の業務の担当者だけではなく、全体を取りまとめる責任者が必要です。

コミュニケーションが希薄な場合は、そもそも自主管理の担い手を見つけるのが難しい可能性があります。また、居住者の高齢化が進んでいるマンションでは、管理業務に携わる人材が不足しやすい点も、自主管理のネックになっています。

自主管理が向いているマンションの条件

以上のメリットとハードルの高さを踏まえると、自主管理への切り替えが向いているマンションは以下のような条件であるといえます。

・比較的コミュニケーションを取りやすい状態である
・管理業務の知識がある人が複数いる
・居住者の高齢化が深刻化していない

上記のようなマンションでは、管理費や修繕積立金の費用を抑えたいと考えているなら検討してみる価値はあるでしょう。

マンション規模が大きくなると管理業務の範囲も大きくなりますが、30戸以下の小規模マンションなどは、居住者全体の同意が比較的取りやすいと考えられます。

反対に、委託管理が向いているマンションは以下のようなマンションです。

・現在の管理委託先のコスト、品質ともに満足している
・人材確保など、自主管理ができる環境が整っていない

とくに、居住者が多忙な場合や高齢化により管理業務の担い手が少ないマンションでは、管理会社に委託を続けざるをえないと考えられます。

一度は管理方法についてしっかり検討を

マンションの自主管理には「管理費用を抑える」「マンション管理への意識向上」「居住者同士のコミュニケーション活性化」などのメリットがあります。一方、適切な管理を実施したり、人材を確保したりするのが難しいのも事実です。

どちらの管理方法が向いているかは、それぞれマンションの実態によって異なりますが、ハードルをクリアできるようなマンションであれば、委託管理から切り替えても良いのではないでしょうか。

最終的に委託管理を続ける場合でも、一度自分たちのマンションの管理方法について検討する機会を持つといいかもしれません。

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